ぎっくり腰が教えてくれる「体のブレーキ」の話
朝、靴下を履こうとした瞬間。荷物を持ち上げたとき。くしゃみをした拍子。
ぎっくり腰は、本当にあっけないタイミングで起こることがあります。
そして起きた瞬間、多くの方がこう思います。
「やってしまった」
「骨がずれた?」
「もう動けないかも」
急な痛みは不安を強くします。ですが、ぎっくり腰を“壊れた出来事”だけで捉えると、余計に焦りやすくなります。今日は少し見方を変えて、ぎっくり腰を「体のブレーキ」として捉える話をします。
痛みは、体が止めるために出ることがある
体は、危ないと判断したときに止まります。
その止まり方の一つが「痛み」です。
もちろん、痛みがある=何でも安全、ということではありません。ですが少なくとも、ぎっくり腰の痛みには「これ以上は無理をしないで」という意味合いが含まれている場合があります。
ここで大事なのは、痛みを消すことよりも先に
体が“守りの反応”を強めない条件を作ることです。
ブレーキは、無理に動かすほど強くなることがある
ぎっくり腰になると、周りから
「動いたほうがいい」
「伸ばしたほうがいい」
とアドバイスを受けることがあります。
確かに、体の状態によっては“少しずつ動くこと”が助けになることもあります。
ただし、体が強いブレーキを踏んでいるときに、無理に動かそうとするとどうなるか。
体は「やっぱり危ない」と判断しやすくなり、緊張が強まります。
結果として、痛みが増えたり、動きが余計に固まったりすることがあります。
つまり、ブレーキを解除するには
「動かす」より先に、体が安心できる材料が必要なことがあるのです。
「動いていい」を判断するのは、体の中の情報
体は常に、いろいろなセンサーから情報を受け取っています。
関節の位置、筋肉の張り、動きの速さ、呼吸の状態…。
その情報をもとに、体は「今は動いていい」「今は止まるべき」と判断しています。
ぎっくり腰のときは、この判断が“止まる側”に大きく振れています。
だからこそ、まず必要なのは
体が「少しなら大丈夫」と判断できる入口を作ること。
「安心できる触れられ方」
「怖くない動かし方」
「緊張が増えない条件」
こうしたものが整うと、ブレーキが少しずつ緩んでいくことがあります。
当院の考え方:強く押さず、反応を尊重する
当院では、強く揉む・無理に伸ばすといった刺激は基本的に行いません。
小波津式の考え方をベースに、体の反応を尊重しながら、神経の働きが落ち着きやすい状態を整えることを大切にしています。
無理に変えるのではなく、体が自分で変わる“余地”をつくる。
急性期ほど、その姿勢が助けになる場面があります。
まとめ
ぎっくり腰は、怖い出来事です。
でも同時に、体が「止まって」と教えてくれるブレーキでもあります。
焦らせるための痛みではなく、守るための反応。
そう捉えると、必要以上に追い込まれずに済むことがあります。
体が「動いていい」と判断できる入口を、静かに探していきましょう。